2019年のラグビーW杯で、日本中から注目をされたラグビー。各国代表チームも連日報道されましたが、それぞれの愛称を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、どのようにその愛称が付けられたのか、由来を知らない方もいるでしょう。
そこで本稿では、ラグビー各国代表チームの愛称を紹介し、その由来についても解説します。
愛称とその由来がわかれば、さらにラグビーを楽しく観戦できるのではないでしょうか。
ラグビー各国代表の愛称の由来
ラグビー各国代表チームの愛称は、ユニフォームの色やエンブレムを由来として名づけられることが多いです。
ユニフォームは、国を表す色であることもあり、また国を象徴する動物や花をエンブレムとして描く代表チームが多い。そこから、愛称につながっていきますね。
また、ラグビーだけでなく、国によってはナショナルチームがすべて同じ愛称ということもあります。
愛称の由来を知ると、その国についての知識も増えていくでしょう。
ユニフォーム色
ユニフォーム色は、ナショナルカラーを使う代表チームもあります。例えばイタリアやフランスのナショナルカラーは「青」。そのため、ユニフォームも「青」を基調に作られています。
また、ラグビー日本代表のユニフォームカラーは「赤」と「白」。これは、日本の国旗を表していると見えますよね。
とくに国際スポーツでは、ナショナルカラーにこだわりを見せる国も多く、競技を問わずにその色を使う国もあります。ただ日本は、競技ごとにカラーが違い、例えばサッカーの場合は「青」です。国によっても考え方は違いますね。
このように、ユニフォームにはその国を表す色が使われており、そこから愛称が付くチームもあります。
エンブレム
ラグビー代表チームには、胸元にその国を代表する象徴のエンブレムが付いています。日本の場合は、桜です。
このエンブレムが、そのままチームの愛称となる場合も多いですね。例えば、オーストラリアやウェールズ、そして日本などでも愛称となっています。
エンブレムに選ばれる国の象徴は、花や動物、鳥が使われることが多いです。こちらもユニフォームカラー同様、その国をさらに知ることもできますね。
ラグビー強豪国代表チームの愛称
それでは、ラグビー強豪国代表チームの愛称とその由来についてご紹介します。
ユニフォームの色やエンブレムから名付けられていると説明しましたが、まったく違う理由で付けられている国も。
「こんな愛称なんだ」「このような由来があったのか」など、愛称を知ることでラグビーを違う側面から楽しめるのではないでしょうか。
日本代表「ブレイブ・ブロッサムズ」
当初、海外メディアからジャージの胸にある桜のエンブレムにちなんで「チェリー・ブロッサムズ」と呼ばれていました。しかし、2003年ラグビーW杯オーストラリア大会で、初戦のスコットランド戦の勇敢な戦いぶりが地元ファンを魅了。そして、称賛の意味を込めて「ブレイブ・ブロッサムズ」となりました。
ニュージーランド代表「オールブラックス」
ニュージーランド代表チームの試合を見た現地英国の新聞記者が、チーム全員がバックスのように走りまわるプレースタイルを「All Backs」と書くところを、スペルミスで「All Blacks」と記載してしまったことが始まりと言われています。そして、チームユニフォームも黒一色となりました。
オーストラリア代表「ワラビーズ」
オーストラリアに住んでいるカンガルー科のワラビーが由来です。ジャージのエンブレムにも、国章とともにワラビーがデザインされた時期もありました。すばしっこく走り回るワラビーが、走り回るプレースタイルに似ていますね。なお、「13人制ラグビー」の愛称は、カンガルーズです。
南アフリカ代表「スプリングボクス」
ユニフォームの胸に、アフリカ南部に生息する動物「スプリングボック」のエンブレムがあったことから、愛称として呼ばれるようになりました。スプリングボックは、ガゼルに似たウシ科の動物で、「トビカモシカ」という別名が示すとおり、四肢をそろえて3.5メートルもジャンプできます。そんな驚異的な身体能力を持つことも、愛称になったのかもしれませんね。
ウェールズ代表「レッドドラゴンズ」
レッドドラゴンは、ウェールズ国旗にも描かれているとおり、ウェールズの象徴です。そのため、ユニフォームの色も紅色。その昔、英国がブリタニアと呼ばれローマ帝国の支配下にあった頃、当時のローマ軍が使用していた軍旗に描かれていたトビトカゲが由来になったと言われています。
イングランド代表「レッドローズ」
赤いバラが、ユニフォームのエンブレムに描かれていることが由来です。バラは、イングランドの国花。その中でも赤いバラが、一般的に知られています。また、英国君主のランカスター家のシンボルが、赤いバラであったことからエンブレムとして選ばれたという説もあります。
アイルランド代表の愛称はなし
アイルランドには愛称らしきものはありません。エンブレムには3枚葉の草を総称するシャムロックが使われています。アイルランドの国花にもなっており、アイルランドを表すものに使われることが多いです。
スコットランド代表の愛称はなし
スコットランドにも愛称はありません。エンブレムは、スコットランドで紋章のバッジに使われるアザミ。トゲによって外敵から国土を守ったとされたことから、スコットランドの国花にもなっています。
フランス代表「レ・ブルー」
ユニフォームのカラーが、青であることが由来となっています。フランス語では、「Les bleus 」と書き、これは「青」の複数形を意味します。なお、フランスサッカー代表の愛称も同じく、「レ・ブルー」ですね。
イタリア代表「アズーリ」
イタリア代表のユニフォームカラーも「青」。そこからアズーリと呼ばれています。イタリア語では「Azzurri」と書き、こちらも「青」の複数形の意味。イタリアではサッカーを始め、男子のナショナルチーム代表は、アズーリと呼ばれていますね。
ジョージア代表「レロス」
ジョージアに古くからあるラグビーとよく似たスポーツ、「レロ・ブルティ」(または単に「レロ」)から付けられました。なお、「レロ」という言葉は、ジョージアでは「トライ」の意味でもあります。
アルゼンチン代表「ロス・プーマス」
アルゼンチンのユニフォームは、水色と白の縞々です。そして、アルゼンチン原産のジャガーの一種をモチーフにしたエンブレムが付けられており、これを見た記者が「プーマ」と誤報してしまったことから、このような愛称で呼ばれるようになりました。
アメリカ代表「イーグルス」
エンブレムに「鷲(eagle)」が使われていることが由来です。アメリカを象徴する国鳥であり、連邦政府やなどの記章をはじめ、硬貨などさまざまなものに描かれてきました。アメリカの強さや自由を象徴しているとも言われていますね。
カナダ代表「メイプル・リーフス」
カナダの国旗が「メイプル・リーフス(Maple Leafs)」(カエデの葉)であることから、愛称となりました。カナダそのものや、カナダ関連の物事の名称にもよく使われています。
ウルグアイ代表「ロス・テロス」
ウルグアイの国鳥であるナンベイタゲリが、ユニフォームのエンブレムにも描かれていることから愛称となりました。ナンベイタゲリのように、警戒心が強く、勇敢な攻撃をすることからもこのように呼ばれています。
フィジー代表「フライング・フィジアンズ」
変幻自在なパスワークとランニングが特徴的なプレイスタイルであるフィジー。そこから英語で「空飛ぶフィジー人」を意味する、「フライング・フィジアンズ」と呼ばれるようになりました。
サモア代表「マヌ・サモア」
サモア代表が試合前に行うシヴァタウ(気勢をあげるために発する叫びと、それに伴う舞踊)の歌詞が由来です。「マヌ・サモア」とは、「サモアの獣たち」を意味しています。
トンガ代表「イカレ・タヒ」
「イカレ・タヒ」は、トンガ語で海鷲の意味です。この海鷲が、トンガ代表のエンブレムに描かれていることから愛称となりました。
ロシア代表「ベアーズ」
ロシア代表のエンブレムが、国獣の「ベアーズ(Bears)」であることから、愛称として呼ばれています。
ナミビア代表「ウェルウィッチアス」
ナミビアおよびアンゴラのナミブ砂漠に生息している植物「ウェルウィッチア」が由来となっています。1対のみの葉を伸ばし続ける特異な形態で、寿命はとても長い。和名ではキソウテンガイ(奇想天外)とも呼ばれています。
ラグビー代表の愛称まとめ
ラグビー代表の愛称を解説しました。
自分たちだけで勝手に言っているわけではなく、世界中で使われている愛称であることは興味深いですよね。ラグビーはグローバルなスポーツであることを示す、一つの文化なのではないでしょうか。
海外メディアのスペルミスで付いてしまった「オールブラックス」や、勇敢な戦いぶりが称賛されて名前が変わった「ブレイブ・ブロッサムズ」など、自分たちで付けたわけではない愛称が世界で使われていることは、ラグビーならではかもしれません。
そして、愛称があると自国民でなくとも応援しやすくなりませんか?サモア代表やフィジー代表と言うよりも、「マヌ・サモア」や「フライング・フィジアンズ」と呼んだ方が身近に感じますよね。
ラグビーの試合をさらに楽しむためにも、それぞれの代表チームを愛称で呼ぶとさらに観戦に熱が入るのではないでしょうか。愛称は世界共通の言葉なので、外国人とも一緒に楽しめるでしょう。
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