ラグビーの試合を見ていると試合終了時に、「ここでノーサイド!35対29、接戦を制したのは○○です!!」なんてことを実況アナウンサーが言っているのを聞いたことがありませんか?
普通、野球でもサッカーでも試合終了の際には「ここで試合終了!」とか、「見事逆転サヨナラでゲームセット!」といような表現を使いますが、なぜかラグビーだけは「ノーサイド」という言葉が使われます。
ラグビーのことをよくわからない人にとっては下記の感想を持っているかと思います。
- 「よくわからないけど試合終了と同じ意味なのかな?」
- 「普通に試合終了って言えばいいのに。何か意味でもあるの?」
そこで、今回の記事ではテレビ中継でも頻繁に使われるラグビー用語のひとつである「ノーサイド」について皆さんが抱いている疑問に関して詳しく解説していきます。
ノーサイドとは?ノーサイドの意味は試合終了
まず、「ノーサイドとは何なのか?」ということですが、それについては主に以下の2つの意味があります。
- 試合終了
- 互いの健闘を称えあう
1つ目の試合終了についてですが、これは、「ノーサイド=サイドが変わらない」ということで、言葉通りの意味となっています。
そして、2つめの「互いの健闘を称えあう」ですが、ラグビーでは試合が終わった後に試合の結果や内容に関係なく、相手チームのプレイヤーをはじめ、チームメイトやレフリーなど試合に関わるすべての人たちに対してリスペクトや感謝の気持ちを持って健闘を称えあうという文化があります。
ラグビー観戦をしたことがある人ならわかると思いますが、ラグビーでは負けたチームの選手たちが勝ったチームの選手を拍手で送りだしたり、互いにハグをしたりといった光景がしばしば見受けられます。こうした光景は他のスポーツではほとんど見かけることがなく、ラグビー特有のものであり、日本ではこの文化を「ノーサイド」または「ノーサイドの精神」と呼び、大切にしているのです。
余談ですが、この「ノーサイド」は政治の場面などでも使われることがあり、少し古い話になりますが2011年の民主党政権だった頃に、当時の首相であった野田佳彦氏が民主党代表に選ばれた直後の演説で民主党議員たちに「ノーサイドにしましょう」と呼びかけたことで話題となりました。
ノーサイドの精神は日本だけの理由
互いの健闘を称えあう「ノーサイドの精神」は非常に素晴らしいものですが、実はこの「ノーサイド」という言葉、海外ではまったく通じません。
意外かもしれませんが、この言葉は日本独自のものなのです。
ラグビー発祥の地であるイングランドではかつて「ノーサイド」という言葉が使われていたこともあるようですが、その意味に関しては試合終了以外にはなかったとのこと。
日本で使われる「ノーサイド」のような深い意味はなく、現在においてはまったく使われていません。そのため、海外のラグビー選手も「ノーサイド」という言葉を知らず、有名なところで言えば前日本代表のヘッドコーチを務めたエディー・ジョーンズ氏も来日するまでは聞いたことがなかったそうです。
日本における「ノーサイドの精神」のような深い意味合いは、日本にラグビーが伝わった際に独自に解釈が加えられたものだと考えられています。
海外でノーサイドはない?
「ノーサイド」という言葉の意味は海外では通じませんが、ラグビーにおける互いの健闘を称えあう「ノーサイドの精神」のような文化自体はちゃんと存在しています。
そもそもラグビーには世界共通のラグビー憲章というものが存在し、そこで掲げられているの5つの精神を守ることを一番初めに教わります。
- 品位
- 情熱
- 結束
- 規律
- 尊重
このラグビー憲章には仲間との協調性や、相手へのリスペクトといったラグビーの基本原則が網羅されており、すべてのプレイヤーのための基準となっています。
そのため、海外においても「ノーサイドの精神」という言葉はないものの文化自体はしっかりと根付いているのです。
ただ、日本の「ノーサイドの精神」は海外からも素晴らしいとの評価を受けていて、昨年のワールドカップではオールブラックスが日本のお辞儀に感銘を受けて真似をしたことをきっかけに、世界中のチームにも広まりを見せるようになるなど非常に注目を集めました。
ちなみに海外では試合終了のことを「フルタイム」と言い、「ノーサイド」はすでに死語となっています。
ノーサイドゲームの意味考察
昨年7月に放送された大泉洋さん主演のドラマ「ノーサイドゲーム」。
このドラマは、左遷された主人公が低迷するラグビーチームと共に困難を乗り越え再起を目指す物語で、社会における様々な争いや理不尽なことも、同じ目的を達成するためには互いに協力し合い助け合う「ノーサイドの精神」が大切だという思いが込められた内容となっています。
まだ見たことがないという人にはこの機会にぜひ一度は見てもらいたい作品のひとつです。Twitterでもドラマに関する様々な思いがつづられていました。
「理不尽がまかり通る世の中で、
ノーサイドという精神はこの世界だからこそ必要なんだと思います。」毎週楽しかった。
ありがとうございました。— 『大泉エッセイ〜僕が綴った16年』&小説『騙し絵の牙』 (@oizumiessey) September 15, 2019
ノーサイド 意味
ラグビーで、試合が終わること
敵味方なし、の意いいタイトル#ノーサイドゲーム pic.twitter.com/rGCdYRE88Q
— ocoge (@ocome002) September 15, 2019
トキワの社長さんの言葉
「きっと会社もこの国も、この先も、たくさんの困難が待ち受けている。だけど決して諦めるな。仲間と共に乗り越えよ。そう背中を押してくれているようだ。」
今まさに必要な言葉。
そして、このドラマを観た多くの人が勇気づけられたと思う。#ノーサイドゲーム— とみ (@103tom1) May 24, 2020
ノーサイドの意味まとめ
ラグビーでは試合の勝敗だけでなく、互いにリスペクトし合う思いやりの精神にも非常に重きを置いています。
ワールドカップが盛り上がったのもこうしたラグビーの美しい伝統に多くの人が共感したからだと言えるでしょう。
試合のルールだけでなく、こうしたラグビーの根本的な部分も知識として知っていることで、より一層ラグビーを楽しむことができるでしょう。
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